政 策

HOME | 政 策

「信州の明るい未来を拓く121の約束」
〜確かな暮らしを守り抜く。真にゆたかな社会を創る。〜

基本姿勢

「県民起点の県政」

1

県行政は県民の皆様のために存在します。「対話と共創」を基本に、県民の皆様の思いに常に寄り添い、ともに考え、行動する県政を推進します。

2

長野県の特色を活かし、光が当たりにくいところにも光をあて、県民の皆様とのお約束を守ることを深く肝に銘じ、県政を運営します。

3

長期的な展望を持って、「現場」から信州と日本の変革に取り組みます。

4

国際社会と連帯して経済・社会・環境の統合的向上を図ることにより、SDGsの達成に取り組みます。

4年間の基本目標

人口減少が進み、環境面からの制約が強まるなど社会経済が激動する中で、D X・G Xの推進や新しいテクノロジーの活用も視野に入れ、
 
1 「持続可能で安定した社会」を実現し、「確かな暮らし」を守り抜く。(「危機克服」)
 
2 「創造的でゆとりある社会」と「多様性が尊重される温かく公正な社会」を実現し、真に「ゆたかな社会」を創る。(「現状打破」)
 
3 県行政を真に役立つ組織へと変革し、県民の皆様の思いを実現する。(「共創実行」)
 
そのため、
⑴ 様々なリスクを洗い出して対策を講じ、危機を克服します。(確かな暮らしを守る。)社会や地球環境等が大きく変化していることに留意し、想定されるリスクの予防と影響の最小化に努めるとともに、危機発生時の対処を適切に行うことにより、「持続可能で安定した社会」の実現を目指します。まずは直面する「現在の危機」(コロナ禍、物価高騰)を克服するとともに、今後ますます影響が大きくなっていくと想定される4つの重大な危機(①地球温暖化による気候危機、②地震や洪水等の大規模災害、③人口減少とそれに伴う医療・福祉、農林業等産業分野の担い手不足、④道路、上水道等公共インフラの老朽化等)に対し、的確な対策を講じることにより、県民の皆様の確かな暮らしを守り抜いてまいります。
 
⑵ 今の「当たり前」を愚直に問い直し、現状を打破します。(真にゆたかな社会を築く。)産業の生産性向上と働き方改革を進め、県民の皆様の所得の向上を図るほか、循環型経済への移行や社会的共通資本の維持・発展、デジタル技術の活用による公共サービスや事業活動の利便性・効率性の向上、快適な空間づくりや文化スポーツの振興などによる、「創造的でゆとりある社会」の実現に取り組み、社会の新しい「当たり前」を創出します。また、我が国は一定程度経済的な豊かさを達成したにもかかわらず、格差や貧困が大きな課題となるなど、真にゆたかな社会が実現しているとはいえません。県民の皆様がゆたかさを実感できるようにするためには、「当たり前」のことを「当たり前」に実行することが必要です。憲法の理念を踏まえ、「幸福追求権」(生命、自由及び幸福追求に対する権利)、「生存権」(健康で文化的な最低限度の生活を営む権利)、「教育を受ける権利」及び「勤労の権利」について、今日的な視点からその実質化を目指し、子ども・若者や女性の幸福追求への支援、低所得者に対する支援、多様な学びの制度化と学びの場への支援、女性や障がい者の就労促進や働き方改革などを「当たり前」に進めることにより、誰もが自分らしく生きることができる「多様性が尊重される温かく公正な社会」の実現を目指します。こうしたことを進めるためには、時にこれまでの常識を打破することも必要です。新しい制度の創設や従来の仕組みの変革にも積極的に取り組むことにより、社会の新たな常識の創造(ゲーム・チェンジ)に挑戦します。
 
⑶ 分権・ネットワーク型社会構造の実現を目指し、その結節点を県組織が担います。(県民の皆様の思いを実現する。)地方分権の推進に積極的に取り組むとともに、様々な課題について、身近なところで対話が行われ、自治的に解決され、県民の皆様一人ひとりの思いを実現することができる信州を目指します。そうした活動の結節点としての役割を県組織が果たすことができるよう、オープンで共創を重視した県政運営に努めます。
 

私が目指す社会の方向性(ビジョン)

 

1 持続可能で安定した「確かな暮らし」の確保

○医療・検査体制の確保等により、新型コロナ禍であっても救える命が救われている。
○現下の物価高騰を克服し、コロナ禍等で停滞した社会経済活動が再生・活性化している。
○省エネルギーや再生可能エネルギーの普及が進み、脱炭素社会に近づいている。
○ハード・ソフトの両面から災害への備えが強化されている。
○出生数の減少傾向に歯止めがかかり、移住者やつながり人口が増加している。
○地域社会に不可欠な医療・福祉、農林業、交通・建設業等の担い手が確保されている。
○水道や交通などの公共インフラが安定的に維持・運営されている。
 

2 経済が発展し、人間らしい生活が営まれる「ゆたかな社会」の実現

○産業の生産性向上・働き方改革により、県民の所得が向上し多様な働き方が実現している。
○デジタル技術の活用により、公共サービスや事業活動の利便性や効率性が向上している。
○結婚・子育て、教育など子ども・若者や女性の幸福追求が最大限保障されている。
○性別、障がい、所得等による差別・格差の解消が進み、誰にでも居場所と出番がある。
○高校改革、高等教育・リカレント教育の振興等により、学びの県づくりが進んでいる。
○医療機関の機能分担と連携が進み、介護サービスが質・量ともに充実している。
○健康に生活できる期間が長くなり、多くの高齢者が現役で活躍している。
○観光地域づくりやまちの緑化などが進み、快適でうるおいのある空間が増加している。
○農山村や過疎地域が人を引きつけ、人間的な暮らしの最先端地域になっている。
○文化・芸術やスポーツに身近で親しむことができ、暮らしにゆとりをもたらしている。
 

3 県民に信頼され共創する組織として「真に役立つ県行政」への変革

○一人ひとりの県職員が主体性とホスピタリティーを持ち、スピーディーに行動している。
○県民の皆様との対話や共創が日常的・積極的に行われている。
○真に不可欠な事務事業への予算の集中により、財政の持続可能性が維持されている。
○国が定めた基準等が実態に合わない場合は、県民の側に立って改善を求めている。
○市町村との適切な役割分担のもと、協力して県民のために力を尽くしている。

知事として取り組む重点政策

 

1 持続可能で安定した「確かな暮らし」を守り抜く

 
⑴ 新型コロナ対策の推進
○さらなる変異株等の出現に警戒し、感染状況に応じた適切な感染拡大防止措置を講じるとともに、医療・検査体制の確保等を行い、救える命を確実に救います。
○市町村と連携して4回目も含めたワクチン接種の促進を図り、重症化予防に努めます。
○感染状況を踏まえて観光促進策を講じるなど、社会経済活動をできる限り維持するよう努めるとともに、コロナ禍からの経済再生に取り組みます。
○これまでのコロナ対策の教訓等も踏まえ、今後想定される新興感染症の流行に対する備えを充実します。
 
⑵  生活・産業における価格高騰対策の実施
○食料、エネルギー、原材料等の価格高騰により多大な影響を受けている県民及び事業者に対し、生活費負担の軽減や事業継続への支援を行います。
○脱炭素社会の実現に向けて、エネルギーコストの削減に取り組む県民・事業者を継続的に支援します。
○円滑な価格転嫁の支援、県の契約等における適正な価格設定等に取り組みます。
○今後の経済動向等を踏まえ、「価格高騰緊急対策第二弾」を取りまとめます。
 
⑶ 「脱炭素社会」づくりの推進
○「長野県ゼロカーボン戦略」に基づき、2030年までに温室効果ガス正味排出量を2010年度比で6割削減することを目指します。
○2030年度までに住宅太陽光発電施設を22万件以上に、小水力発電能力を103万kw以上にするなど、再生可能エネルギーの飛躍的な普及拡大を図ります。
○環境や景観等との調和を図るため、野立て太陽光パネルの設置に関するルールづくりを検討します。
○電動車の普及と充電設備の設置、公共交通の利便性向上や歩いて楽しめるまちづくり、信州健康ゼロエネ住宅の普及等による新築住宅物のZEB化、ZEH化などを進めます。
○企業等が行う省エネ設備への更新、再エネ設備の導入、再生可能エネルギー100%電力の購入などを支援することにより、産業分野での温室効果ガス削減を進めるとともに、グリーン成長分野への企業の積極的な挑戦を後押しします。
○森林整備の推進による二酸化炭素吸収量の増加に努めるとともに、グリーンインフラの整備によりまちなかの緑を増やします。
○信州環境カレッジでの学びを通じたライフスタイルの変革や、サステナブルNAGANO共創プラットフォーム(仮称)における様々な主体との共創で脱炭素を推進します。
 
⑷ 県土強靭化の推進など災害に強い県づくり
○防災・減災、国土強靭化のための5カ年加速化対策を積極的に活用し、県土の安全性を高めます。
○令和元年東日本台風災害の教訓を踏まえ、河川整備を推進するとともに、流域での雨水貯留や水害に備えたまちづくりなどを推進し、流域全体で治水対策を促進します。
○ハザードマップの策定推進等により身近な危険の認知度を高めるとともに、切迫感が伝わる情報発信や災害弱者を含めた避難体制の確立等により、災害時の逃げ遅れゼロの実現に取り組みます。
○盛土等に起因する災害から県民の皆様の生命財産を守るため、関係法令や新たに制定した「盛土等による土砂災害の防止に関する条例」等の適切な運用を行います。
○地震から県民の生命・財産を守るため、長野県耐震改修促進計画に基づき、住宅や多数の方が利用する施設等の耐震化を一層促進します。
○災害時に避難所における良好な環境を確保するため、避難所T K B(トイレ、キッチン、ベッド)環境向上プロジェクトを推進します。
○広域連携型の立地適正化計画の策定、防災集団移転促進事業の活用などを通じ、災害リスクが低い地域への公共的施設の立地や居住を促進するとともに、土地利用のあり方について検討します。
 
⑸ 少子化・人口減少対策
○少子化・人口減少に関する要因と影響を分析するとともに、的確な政策立案と着実な実行のため、県と市町村、関係団体の代表者及び有識者をメンバーとする「少子化・人口減少対策推進会議(仮称)」を設置します。
○結婚、出産、子育てに対する支援が充実し、仕事と暮らしの両立ができる、女性や若者から選ばれる県づくりを進めます。
○子育てに伴う経済的負担の軽減を図るとともに、男性を含む育児休業の取得促進など社会全体で結婚や子育てをサポートしていく機運の醸成に努めます。
○高校や大学・短大の各学校の場において、結婚、出産、子育てについて生徒や学生が主体的に考える「ライフデザイン教育」を徹底します。
○子育てと仕事や社会生活を両立できるような環境づくりを経済界や市町村とともに進め、育児後の再就職支援、女性のデジタル人材育成などの能力開発、子育てしながら働ける新たな働き方の創造、などに積極的に取り組みます。
○移住したい県としての優位性を活かし、信州回帰プロジェクトとして移住の促進や二地域居住、つながり人口の拡大に取り組みます。特にリモートワークや兼業・副業を積極的に推進する大都市の企業との連携を強化します。
○いわゆる山村留学を「信州自然留学(仮称)」として、広報の充実や相談窓口の設置などにより積極的に推進します。○経済団体や教育委員会、大学等とともに、高校生、大学生等の県内就職を促すためのインターンシップを推進します。
○医療・福祉、教育、農林業、建設業、製造業、公共交通など様々な分野における人材確保について、移住や教育に係る政策での対応も含め、全庁挙げて全力で取り組みます。また、奨学金返還支援や各種就学資金貸付制度等の充実を図ります。
○小中高校におけるキャリア教育の充実、生徒の進路希望の実態に合わせた高校のカリキュラムの見直し、高校における各種資格の取得促進などに、教育委員会と連携して取り組みます。
○独居高齢者の増加等に対応するための高齢者と若者とのシェアハウスなどを検討するほか、農地・山林付き住宅や二地域居住者向けコンパクト住宅を普及させるなど、新しい住まい方を提案します。
○コンパクトシティ化や歩いて楽しめるまちづくりを推進するため、「地域戦略推進型公共事業」などを積極的に活用して、点でなく
面で、かつ、部局横断で取り組みます。
 
⑹ 交通や水道など社会的なインフラの維持・発展
○企画振興部に「交通政策局」を設置し、交通政策を総合的に推進する体制を強化します。
○鉄道やバス、タクシーなど地域公共交通の存続・発展を図るため、公設民営化などの新たな仕組みづくりを国に提案するとともに、県独自の政策化を検討します。また、MaaSなど新たなモビリティサービスの導入を積極的に検討します。
○海外を含むチャーター便や定期便の拡充、小型ジェット等の就航促進など、地域の皆様の理解を得ながら松本空港の活性化と利便性向上を推進します。
○リニア中央新幹線の開業と北陸新幹線の大阪延伸の早期実現に向け取り組みます。
○中部横断自動車道、中部縦貫自動車道、三遠南信自動車道、松本糸魚川連絡道路、木曽川右岸道路など、県内の主要な道路ネットワークの整備促進を図ります。
○持続可能な水道事業を確立するため市町村とともに水道の広域化を推進するほか、様々な公共施設の長寿命化を進めます。
○公共事業評価制度を充実し、優先度が高い事業に財源を重点的に振り向けます。

 
 

2 経済が発展し、人間らしい生活が営まれる「ゆたかな社会」を創造する

 
2−1 「創造的でゆとりある社会」の実現
 
⑴ 産業の生産性向上と県民の所得向上
○産業分野でのDX推進と新技術の積極的な導入、信州ITバレー構想の推進によるIT人材の育成・確保、企業の研究開発や設備投資に対する支援等により、県内産業の生産性向上を図り、賃金の引き上げを後押しします。
○産業イノベーションの中核拠点としての長野県産業振興機構による支援を充実し、経営革新等を通じた企業の生産性向上を図ります。
○伝統的産業や地域資源を活用したビジネスの活性化を図るため、後継者の育成、製品のブランド力強化、販路の開拓等の支援を充実するとともに、地域資源製品開発支援センター(デザサポながの)の体制を強化します
○Afterコロナ時代を見据えた観光振興方針に基づき、安全・安心な観光地づくり、長期滞在型観光の推進、リピーターの獲得などに取り組み、観光消費額の増加を図ります。
○スマート農林業の推進、海外販路の開拓、信州ワインバレー構想の推進などにより、農業農村総生産額や農産物輸出額、林業産出額の増加を図ります。
○日本一創業しやすい県を目指し、創業支援のためのエコシステムの構築や、ソーシャルビジネスをはじめとするスタートアップ企業への支援に取り組むとともに、県内経済への波及効果をもたらす企業の立地を促進します。また、事業承継支援に積極的に取り組み、後継者不足に悩む企業の存続・発展を支援します。
○国の業務改善助成金、働き方改革推進支援助成金の活用促進などにより、企業の賃金引き上げを後押しします。また、契約に関する条例を踏まえ、県発注事業に従事する者の賃金水準が適正なものとなるよう取り組みます。
 
⑵  環境再生的で分配的な経済の実現
○循環型経済(サーキュラーエコノミー)への移行を推進するため、県の試験研究機関での研究強化や環境部門の機能充実、経済団体や企業との共創により、資源消費の最小化や廃棄物の発生抑制などを図ります。
○県産品の地産地消や地消地産を進めるとともに、「デジタル地域通貨」の発行支援を検討するなど、地域内経済循環を促進します
○食料安全保障の観点も踏まえ、我が国の食料自給率の向上も念頭におき、農業と食品産業の振興に取り組みます。有機農業の拡大等環境に優しい持続可能な農業を振興し、学校給食における有機農産物の使用を促進します。
○ゆたかな地域を支える事業活動としての公共交通、農林業等(いわゆる「社会的共通資本」たる事業)を維持・発展させるため、公設民営化や規模拡大への支援等の新たな仕組みづくり、特定地域づくり事業協同組合の活用、などについて検討します。また、高校や大学・専門学校等と連携して、こうした分野への就労を積極的に支援します。
○環境や社会に優しい「エシカル消費」を促進するとともに、「エシカル生産」を広げていきます。
 
⑶ 暮らしと産業におけるデジタル技術の活用推進
○Society 5.0時代を見据えて策定した「長野県DX戦略」を踏まえ、生活と産業、そして行政のデジタルトランスフォーメーションを進めます。
○市町村とともに設置した先端技術活用推進協議会を活用し、行政事務のデジタル化による自治体のスマート化や、遠隔医療や遠隔授業の拡大、信州リゾートテレワークなどの推進に取り組みます。また、「信州ITバレー構想」に基づき、I Tビジネスの創出やI T人材・企業の育成・誘致を一層推進します。
○A I・IoT等先端技術利活用支援拠点を活用して工場のスマート化を促進するとともに、スマート農林業を推進します。メタバースやドローン等の新しい技術や制度の活用・対応を積極的に検討するための組織として「未来創造課(仮称)」の設置を検討します。
 
⑷ 住む人も訪れる人も快適な空間づくり
○豊かな観光資源を活かして体験型観光の充実を図るとともに、外国語表記の拡充やキャッシュレス化を推進し、一年を通じて国内外から観光客が訪れる滞在型の観光地域づくりを積極的に進めます。
○登録D M Oである長野県観光機構が世界水準のD M Oとして信州の観光振興の中核的存在となるよう機能・体制の強化を図ります
○国際会議や教育旅行、スポーツ合宿等を積極的に誘致するとともに、人に優しいユニバーサルツーリズムや自然を活かしたアドベンチャーツーリズムなどを推進します。
○観光プロモーションや観光地域づくりを更に充実・強化するための特定財源として、観光客に税負担を求めることについて研究します。
○森林整備については、主伐・再造林を積極的に推進することにより、林業振興を図ると同時にC O2吸収量の多い若い森林づくりを進めていきます。あわせて、子どもたちを含む多くの県民が親しめる美しく開かれた森林づくりに取り組みます。
○信州まちなかグリーンインフラ推進計画に基づき、街路樹整備と道路空間の利活用促進、公園や広場の芝生化や緑化推進、河川や水路沿いの散策路等親水空間の整備、建築物の壁面緑化や敷地内緑化の推進、などに取り組みます。
○長野県景観育成計画の見直しを行い、広域的な視点からの景観保全・育成を推進することにより、信州の美しい景観を守り抜きます。
○森林づくり県民税については、来年度以降の継続を視野に入れ、森林環境譲与税との関係や使途のあり方についてさらに検討を深めます。
○御岳県立公園の国定公園化に取り組みます。また、国立・国定公園も含めた自然公園における環境保全の一層の充実とともに、環境と調和した積極的な利活用のあり方を検討・実施します。
 
⑸ 文化、スポーツの振興などゆとりある暮らしの創造
○新たに設立した「信州アーツカウンシル」の専門スタッフによる相談・助言、様々な活動に対する財政的支援などを通じ、県内各地の文化芸術の更なる振興を図ります。
○信州フィルムコミッションネットワークの活動を充実し、信州発の映画を増やします。
○2028年に本県で開催が予定されている国民スポーツ大会や全国障害者スポーツ大会の開催準備を進めるとともに、スポーツ施設の整備など誰もがスポーツを楽しむことができる環境整備をあわせて推進します。
○新たに設置した県立美術館や県立武道館の魅力向上と利用促進に努め、教育面、観光面での活用も含めて県内外の多くの方々に愛される施設として発展させます。なお、県立美術館については、巡回展の開催等を通じて県内の各地域・美術館との交流を図ります。
○農ある暮らしの普及拡大や信州リゾートテレワークの推進などにより、新しい働き方や暮らし方を長野県から発信し、農山村や過疎地域が時代の最先端の「ゆたかな地域」となるよう変革を後押しします。

 
2−2 「多様性が尊重される温かく公正な社会」の実現
 
⑴ 若者・女性や子どもの幸福追求を最大限支援
○市町村とともに「若者・子育て世代応援プロジェクト」を推進し、女性や若者が暮らしたくなる信州を目指します。また、結婚・子育て等に関する支援情報を提供するポータルサイトを構築し、わかりやすい情報発信に努めます。
○県独自の奨学金返還支援制度や「移住支援金」「創業支援金」を周知することにより、若い世代の信州回帰と県内での就労を促進します。
○ながの結婚マッチングシステムの利用者拡大と結婚新生活支援事業等により、出会いの応援と結婚に伴う住居費等を支援します。また、新婚家庭を応援する「ながの結婚応援パスポート事業」をスタートさせ、協賛店舗の拡大とサービス内容の充実を図ってまいります。
○不妊治療の経済的負担を軽減するため、妊活検診や先進医療を助成します。
○従業員の仕事と子育ての両立を図る企業等を応援するため、次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画を策定している事業者のうち、男性従業員が育児休業を取得した場合など一定の要件に該当する事業者に対する奨励金の支給を検討します。
○3歳未満の子どもがいる一定年収未満の世帯に対する支援など、子育て家庭の一層の負担軽減を図るよう国に提言するとともに、県としても検討を行います。
○子どもや子育てに優しい社会をつくるため、公共交通機関や美術館等における子ども料金の軽減や、学校以外の多様な学びの場に対する支援の強化などを検討するほか、信州子どもカフェの活動支援などを通じて子どもの貧困対策を一層推進します。
○子ども・子育て支援のための施策強化は、人口減少に歯止めをかけ、社会保障制度の安定化にも寄与するものであることから、新たな税の創設等も含め、国・地方を通じた幅広い財源確保のあり方を検討します。
○子ども支援委員会や子ども支援センター、子ども自殺対策プロジェクトチームの活動の充実・強化を図ることにより、子どもの自殺ゼロを目指すなど困難に直面している子どもの人権や生活を守ります。
○ヤングケアラーや引きこもりの方など困難を抱える子ども・若者やご家庭に対する支援を充実するほか、いじめや虐待の防止と対策に一層力を入れて取り組みます。
 
⑵ 性別、障がい、所得等による差別・格差の解消
○女性がその能力を十分発揮できる環境をつくるため、固定的な役割分担意識の解消、社会の制度や慣行の見直し、女性の政策決定過程への参加、などを促進します。○男女間の賃金、雇用等の格差解消と女性が安心して働き続けられる環境整備に努めます。○性的少数者の方の生活上の障壁をなくすため、パートナーシップ宣誓制度の創設を検討します。○所得が少ない世帯に対する生活支援を充実し、安定的に食料支援を行うための新たなシステムを構築します。また、所得が少ない家庭の子どもでも大学等の高等教育への進学を志すことができるよう、奨学金制度や学習支援の充実を検討します。○生活保護制度等の国の社会保障制度については、地域の実情を踏まえ、必要な見直しや支援内容の充実を国に提言します。○障がい者共生条例が定める施策の具体化を図り、障害のある人に対する差別をなくし、相互に人格と個性を尊重し合う社会づくりを進めます。障害のある人の意見を取り入れながら、雇用の促進など様々な分野における障がい等に関する施策を推進するほか、共生社会づくり調整委員会を設置して障がいを理由とする差別の解消に取り組みます。
○「長野県犯罪被害者等支援条例」及び条例に基づく推進計画を踏まえ、犯罪被害者等が受けた被害の早期の回復と軽減、犯罪被害者等の生活の再建と権利利益の保護に取り組みます。
○社会的弱者といわれる方々が抱える重層的課題を解決するため、福祉・労働等の様々な支援団体の新しい連携や協働組織等のあり方について検討します。
 
⑶ 日本一の学びの県づくり
○県と市町村の総合教育懇談会を「学びの県づくり推進会議(仮称)」に改め、有識者の参加や部会の設置など組織体制を強化します。子どもたちや保護者、教育関係者、企業関係者や学識者などとの対話を通じて、子どもから大人まで一人ひとりの関心や能力を最大限引き出すことができる「学び」の充実に教育委員会とともに取り組み、日本一の「学びの県」を目指します。
○高校再編を新しい信州教育を確立する大きな契機とするため、大胆な高校改革に教育委員会とともに取り組みます。 高校再編にあたっては、各学校に明確な特色を持たせるとともに、個別最適な学びと協働的な学び、STEAM教育、アントレプレナー教育を重視することにより学びの質の向上に努めます。また、特色ある学科を有する高校の一部については生徒の全国募集についても検討を行います。
○学びの充実と教育環境は不可分であることから、県立高校や特別支援学校の校舎のあり方について、児童生徒や保護者、教職員、地域住民に建築の専門家も交えた検討を行う「長野スクールデザインプロジェクト」を開始し、学校空間の質の向上に取り組みます。
○住民参加型の学校運営の仕組みづくりや部活動の地域移行等、地域と共存する学校づくりを教育委員会とともに積極的に検討します。また、再編対象となる学校の一部については、市町村とともに地域における学びの拠点等としての活用を検討します。
○個別最適な学びを実現できるよう、学校の教員配置の充実等について検討します。また、企業の副業人材等多彩な教員や講師の活用を検討します。
○特別支援学校においては、行動分析に基づく教育、アート等多彩な学びの充実、就労支援の一層の強化などにより、これまで以上にきめ細やかな教育の実現に努めます。
○「信州やまほいく」認証制度を維持発展させるとともに、義務教育課程においてもさらに非認知能力を高めていくことができるよう、小学校の学びを幼稚園・保育園教育に整合させることも含めて教育委員会とともに検討します。
○高等教育支援センターを核にして、大学、専門学校等における高等教育の一層の振興を図ります。特に大学や専門学校の人材確保等への支援を通じてリカレント教育の強化を図るとともに、教育機関同士の連携や教育機関と産業界との関係の強化を図ります。
○グローバル化や社会の高度化に対応できる人材を育てるため、学生及び社会人の県費による留学制度の創設を検討します
○県内にない学部学科を中心とした大学等の誘致、私立学校やフリースクール等への支援充実などにより、教育の多様化と学ぶ場の選択肢の増加に努めます。また、不登校の子どもたちのためにも、通信制義務教育学校の設置を認めるよう国に提言します。
○人口減少下にあっても地域における学びの場を維持する観点で、オンラインによる学習を出席扱い・単位認定できるようにすることを国に提言するとともに、子どもたちがいつでもどこでも自主的主体的に学ぶことができるよう授業動画を共有できる教育ポータルサイトの開設を検討します。
○大都市や海外の子どもたちの農山村体験や教育旅行などを積極的に受け入れるとともに、「信州自然留学(仮称)」の振興に努めます。
 
⑷ 働き方改革の推進と就労支援の強化
○長野県就業促進・働き方改革戦略会議を活用し、関係機関・団体と連携して、働き方改革を通じた働きやすい職場づくり、地域・家庭における生活時間の充実、女性がその能力を最大限発揮できる社会づくり、若者・障がい者・高齢者等の就業促進、などに取り組みます。
○社員の子育て応援宣言登録企業や職場いきいきアドバンスカンパニー認証企業の拡大を図り、誰もが活き活きと働くことができる職場環境づくりを促進します。
○社会貢献職員応援制度や特定地域づくり事業協同組合の普及・定着を図るとともに、兼業・副業や信州リゾートテレワークの活用などにより新しい働き方を広げます。
○広域圏ごとの就労支援体制を一層強化し、女性、若者や困難を抱える方々の求人開拓や就業促進等をワンストップで行う「地域就労支援センター(仮称)」の設置を検討します。
 
⑸ 地域医療と介護サービスの充実
○医療機関相互の機能分担・連携を促進し、中山間地域も含めて安心して暮らし続けられる医療提供体制の維持・構築に努めます。そのため、幅広い診療能力を有する総合医の育成に努めるとともに、産科、小児科医をはじめ地域に不可欠な医療人材の確保に注力します。また、私大医学部での学びも視野に入れて医学生に対する支援の充実を検討します。
○長野県高齢者プランに基づき、地域包括ケア体制の構築と見える化、介護人材の確保、介護予防とフレイル対策の推進、移送サービス等地域における生活支援サービスの充実、介護施設や住まいの確保などに重点的に取り組みます。
○健康長寿の長野県をさらに発展させるため、信州ACEプロジェクトを推進します。なかでも介護予防やフレイル対策等を重視し、元気で働いたり社会活動に参画したりできる高齢者が一層増えるよう取り組みます。
○遠隔医療の推進や、介護ロボットの導入促進など、医療・介護の分野における新技術の導入を促進します。また、へき地における医療を守るため、拠点病院からの医師派遣の仕組みを検討します。

 
 

3 県行政を県民に信頼され共創する組織として進化させる

 
⑴  地方分権の一層の推進
○地域の活性化や地域課題の解決のためには、本県の実情にあった政策を実行することが重要であり、権限・財源の更なる分権が不可欠です。全国知事会を活用するなどして自治立法権の強化や地方財政の自主性向上など地方分権の一層の推進に力を入れて取り組みます
○国が定めた基準等が実態に合わない場合には県民とともに改善を求めるなど、地方政府として主体的に行動します。
 
⑵ 学習する組織への転換と県職員の働き方改革
○職員が地域に飛び出し活動することを奨励し、創造的活動支援制度(長野県版20%ルール)の普及定着を図るとともに、県組織を学習する組織へと変革します。
○業務の見直しと効率化を図るとともに、残業時間の縮減、長期休暇の取得奨励、健康管理の充実、男性も含めた育児・介護休暇の取得促進などの働き方改革を推進し、公務能率と仕事の質の向上を図ります。
○デジタル職等の採用、専門分野登録制度(仮称)の創設、異動周期の長期化、国内外の大学院等への派遣研修や国・企業等との人事交流の推進等を通じて、職員の専門性の向上と能力の明確化を図り、複雑高度化する社会に対応した政策形成・実行能力の向上を図ります。
 
⑶  県民の皆様との対話と共創の拡大
○県民からより信頼される県行政となるよう、一人ひとりの県職員が主体性とホスピタリティーを持ち、スピーディーに行動できるよう組織風土やルールの改善に努めます。そのため、研修の充実を図るとともに、政策提案コンテスト、ホスピタリティ表彰などの実施を検討します。
○県政タウンミーティングやランチミーティング、各部局が行う政策対話等の内容や回数を充実させることにより、県民の皆様との対話を日常的に行います。
○脱炭素社会づくりのための「サステナブルNAGANO共創プラットフォーム(仮称)」や、芸術文化振興のための「信州アーツカウンシル」などのように、様々な分野における県民との共創を今後とも広げてまいります。
○県民参加型予算を試行するなど、県民の皆様の声を県政に直接的に反映する方法を検討してまいります。
 
⑷  県及び県・市町村間の行財政システム改革の推進
○行政・財政改革方針を新たに定め、行政におけるD Xの推進、事務事業の抜本的な見直しなどによる効果的・効率的な行政運営の確立と、優先度が高い事業に対する財源配分の重点化、法定外目的税の創設を含む負担のあり方の検討などを通じた財政の持続可能性の確保に取り組みます。実行にあたっては有識者や企業経営者等の参画のもと、具体的な目標や工程表を策定し、オープンな形での改革を進めます。
○市町村との協力・信頼関係の維持・向上を図り、様々な分野で丁寧な意見交換や調整等を行いながら政策を進めます。
○市町村との協議の上で、市町村への更なる権限移譲、県による市町村業務の補完・支援、保育士等専門的な職員の共同・広域確保の検討、などを進め、県・市町村間の役割分担と協力連携のあり方を住民起点で改善します。
○元気づくり支援金について、市町村とともに今後のあり方について検討します。
※上記は、現時点で重点的に取り組むべきと考える政策を「公約」として取りまとめたものです。もとより取り組む全ての施策を網羅したものではありません。